筆者の話です。
病院の待合室でたまたま開いた漫画に、思いがけず心をつかまれました。
「早く呼ばれたいのに、呼ばれたくない」そんな不思議な感情が生まれた日のことです。
病院の待合室でたまたま開いた漫画に、思いがけず心をつかまれました。
「早く呼ばれたいのに、呼ばれたくない」そんな不思議な感情が生まれた日のことです。
近づく順番
しばらくすると、電子表示の画面に自分の番号が近づいてきました。
診察を早く済ませたい気持ちも確かにあるのに、物語の続きへの興味が止まりません。
「集中したいのに、呼ばれないか気にしなきゃいけない」という矛盾が胸の中でせめぎ合います。
ストーリーが佳境に入り、大事な場面に差しかかったそのとき、待合室に私の番号が呼ばれ──
思わず「あ……!」と声が漏れ、読みかけのページを閉じる手がほんの少し名残惜しく感じられました。
立ち上がるとき、背中にふわっと惜しさがまとわりついたのです。
待ち時間の気づき
診察を終えて待合室に戻ると、すぐに漫画を手に取りました。
会計を待つあいだに再び本を開きながら「待つ時間って、過ごし方でこんなに変わるんだな」としみじみ思ったのです。
長く感じる日もあれば、思わず笑ってしまうほど短く感じる日もある。
ただ順番を待つだけの場所だと思っていた病院で、こんなふうに気持ちが動くなんて少し意外でした。
待ち時間をどう過ごすかで、同じ病院でもこんなに気持ちが変わるものなんだと感じた出来事です。
【体験者:50代女性・筆者、回答時期:2025年12月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。