実家は駅から徒歩25分。
昔から「不便な場所だなあ」と思っていたけれど、大人になり両親に「その場所であえて暮らした理由」を教えてもらい、その深い愛情に目から鱗が落ちる思いに……。
筆者の友人L子の、実際にあった実家エピソードをご紹介します。

子供にとって「これ以上の立地はない」

両親は、私が生まれてすぐの頃、家を建てるため土地を探していて、この場所の立地を見たとき

「将来、この子が歩いて行ける場所に図書館があるなら、これ以上の立地はない」

と思ったとのこと。

「利便性は工夫で補えるけれど、環境は買い替えられない。子供の人生にとって、本がすぐそばにある暮らしは、必ず助けになるはず」

父と母の意見は一致したそうです。

図書館に救われた子供時代

確かに私は、暇なときには図書館で読書をして気分転換したり、落ち込んだときや一人になりたいときも、ふらりと図書館に行き、本の世界に夢中になることで辛い気持ちを和らげたりすることができました。

本を読む気分ではないときも、図書館の静かな空間で一人過ごしていると気持ちが落ち着いたものでした。大人になった今、ストレスに負けずにいられるのは、あの場所で育んだ「自分と向き合う時間」があったからかもしれません。

子供時代の私にとって図書館の存在は、確かに救いになっていたのです。

それを見越して、両親がこの場所を選んだことにもびっくり。

両親の思いに感謝

「不便だ、不便だ」と文句を言い続けてきた場所が、実は私を思って選ばれた「最高のギフト」だったのだと知り、胸が熱くなりました。

知らない間に、両親の深い願いに守られていたことに気づき、自分の幼さをちょっぴり反省。

「便利さ」という物差しだけでは測れない、子供の未来を見据えた選択をしてくれた両親に、今は心から感謝しています。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年12月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:Sana.Y
医療機関に勤めるアラフォーワーキングマザー。新卒で化粧品メーカーに入社後、結婚出産を機に退職。現在は転職し子育てと仕事の両立に励む。自分らしい生き方を求め、昔から好きだった書くことを仕事にしたくライターデビュー。化粧品メーカー勤務での経験や、会社でのワーキングマザーとしての立ち位置、ママ友との情報交換を通して美容や教育、女性の生き方を考えた情報を発信している。