冬になると食べたくなるのが「おでん」ですよね。具材のバラエティも豊かですし、食べると体が温まります。そんなおでんも、一部では「ご飯に合わない」「手抜き料理」といわれることがあるようです。今回はそんなおでんがきっかけで、旦那さんの家事に対する思い込みを正した経験のある筆者の知人、Oさんのお話です。

食事にうるさい旦那

Oさんは毎日フルタイムで働きながら、家事とまだ小学生の2人の子どもの育児もこなすという忙しい毎日を送っていました。

旦那さんは仕事が忙しく、毎日帰宅が遅いのでOさんはほぼワンオペ。忙しい毎日ですが「仕事の活力になるものを」という旦那さんのこだわりが強く、Oさんはプレッシャーを感じながら手の込んだものを作っていました。

その理由というのは、旦那さんがとても食事にうるさいこと。仕事で疲れて帰って来ているのだから、翌日の活力になるような料理が食べたいとのこと。

ときには残業で帰宅が遅くなったOさんがレトルト食品を活用することもありましたが、旦那さんは不満げな顔をしてほぼ口をつけないことも。家事の大変さを想像してもらえないことに、Oさんは人知れず傷ついていました。

そんなある冬の日、Oさんは夕飯に子どもたちも大好きなおでんを作って出しました。すると帰宅した旦那さんは食卓をちらっと見るなりため息をついたのです。

おでんは手抜き料理?

「おでんか…… おでんなんか家でラクするためのメニューだろ。疲れて帰ってきたのに手抜き料理食わすわけ?」
「別にそういうわけじゃないけど」
旦那さんはおでんのたっぷり入った鍋を指さして続けました。
「こんなの具材を切って入れるだけなんだからラクだろ。仕事じゃないんだからって、甘えるなよ」
そこまで言われて、さすがのOさんも堪忍袋の緒が切れました。
そして、大切に保管していた古いノートの1ページを旦那さんの目の前に突きつけたのです。

「これを見て。あなたのお母さんが、いつか私に役立ててほしいって残してくれたおでんのレシピよ」
そこには具材の下処理から、昆布と鶏ガラを使った出汁の取り方など、おでんを作るにあたっての煩雑な工程が、昨年亡くなったばかりの義母の几帳面な字で事細かに書いてありました。それは、Oさんがその日、時間をやりくりして忠実に再現した工程そのものでした。