私は叔父の言葉を鵜呑みにせず、法務局へ向かいました。
そして、その土地の「登記簿謄本(全部事項証明書)」を取得したのです。
内容を確認すると、祖父から父へ正式に相続登記が完了しており、叔父の名前などどこにもありません。
抵当権などの怪しい記載もなく、法的に完全に父、そして私の所有物であることが証明されました。
1枚の書類が証明した正当
私は登記簿のコピーを叔父に突きつけました。
「確認しましたが、この土地は正式に父の相続財産でした。口約束では権利は動きません」
それでも叔父はまだ何か言いたそうにしていましたが、「これ以上続けるなら、弁護士を入れます」と告げた途端、顔面蒼白に。
悪態をついて逃げるように去っていきました。
あとから親戚づてに聞いた話では、どうやら叔父には借金があり、勝手に土地を売って金を作ろうと画策していたようです。
若くて無知そうな私が相手なら、押し切れると思ったのでしょう。
「事実」という武器
もし叔父の剣幕に押されてハンコを押していたら……と想像するとゾッとします。
公的な書類という「事実」の前では、どんな嘘も脅しも通用しません。
相続トラブルは、「知識がある人間が勝つ世界」です。
逃げずに、調べること。そして、おかしいと思ったらまずは公的機関で事実確認をすること。
それが自分と家族を守ることにつながると思います。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年11月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。