「本当の適当」を見せてあげる
ある日、また夫に「適当でいいよ」と返答された私は、ついに「本当の適当」を実行に移しました。
食卓に並べたのは、焼いてもいない食パンと、醤油をかけただけの冷奴。以上です。
子どもたちは物珍しさに喜んでいましたが、帰宅した夫は呆然。
「いや、これは違くない……?」と引きつる夫に、私はにっこり笑って返しました。
「これがあなたの言う『適当』だよ。調理も味付けも『適当』に済ませた結果です」
家族の本音
焦った夫によって、そこから緊急家族会議が開かれました。
結局、みんなが「なんでもいい」と言っていたのは、単に考えるのが面倒くさかったからだと判明。
作る労力を軽んじていたわけではないと分かりましたが、献立考案の苦労は伝わりました。
それ以来、我が家の冷蔵庫には、それぞれの「食べたいものリスト」が貼られるようになりました。
実現できなさそうなメニューもありますが、選択肢があるだけで心が楽になるものですよね。
リクエストがあるだけで
もちろん全部は叶えられませんが、「何作ろう……」と困った時にリストを見るだけで、献立決めのストレスが激減しました。
たまに子どもから「チョコバナナご飯」なんてふざけたリクエストもありますが、それもご愛嬌。
「なんでもいい」という投げやりな言葉より、ちょっとした意見があるだけで、料理へのモチベーションはずっと軽くなるものですね。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年11月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。