「お兄ちゃん、何組? 俺知ってるかも!」サッカーチームで交わされた、他愛のない会話。しかし小学4年生の息子は、その質問に口をつぐんでしまいました。その理由とは……? 友人が、体験談を語ってくれました。
障害を持つ長男を産んだとき、私自身にも長く深い葛藤があったからです。
当時は現実を受け入れられず、友人にも長男の話を避けていました。
大人の私でさえ、障害受容には長い年月が必要だったのです。
今は私も受け入れ、聞かれれば自然に答えられます。でも、まだ10歳の息子が、突然の質問に言葉を詰まらせるのは当たり前のこと。
兄のことが大好きだからこそ、なんと説明すればいいか、どう言えば相手に伝わるか、とっさに分からなかっただけなのです。
息子なりの「タイミング」を待つこと
私は息子に伝えました。
「言わなかったのは、嘘をついたことにはならないよ。お兄ちゃんのことを大切に思っているのは、ママが一番知ってるから大丈夫」
「もしまた聞かれて、言いたくなったら『違う学校に通ってるんだ』って言えばいいよ。無理して詳しく説明しなくていいんだよ」と付け加えました。
私の言葉を聞き、息子はホッとした顔をしていました。
きょうだい児として家族のことも自分のことも大切にしたいという葛藤は、これからもあるでしょう。
でも、焦らなくていい。彼なりの言葉で、彼なりのタイミングで、兄のことを話せる日が来るまで、ゆっくり見守ろうと思います。
【体験者:40代・女性パート、回答時期:2025年11月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Yuki Unagi
フリーペーパーの編集として約10年活躍。出産を機に退職した後、子どもの手が離れたのをきっかけに、在宅webライターとして活動をスタート。自分自身の体験や友人知人へのインタビューを行い、大人の女性向けサイトを中心に、得意とする家族関係のコラムを執筆している。