息子が耳鼻科通いを頑張れたのは、パン屋さんというご褒美があったから。いつものように診察を終えたあと、息子の言葉で、周囲に笑いが広がりました。今でもパン屋さんの前を通るたびに思い出す、筆者の体験談です。
待合室に広がる笑いと優しい一言
私が曖昧な返事でやり過ごそうとしたため「ねぇ! パン買うやろ? 買うよね? パン屋さん行くやんな?」と、さらに大声で何度も念押しする息子。
待合室からはクスクスと笑い声が漏れ始め、私は穴があったら入りたい気持ちになりました。
そのとき、ひとりのおじいさんが優しい笑顔で声をかけてくれました。
「おー、ぼく! パンたくさん買うてもらいや〜!」
その一言で「騒がしくてすみません」と縮こまっていた私の心と場の空気が一気に温まり、待合室は柔らかい笑いに包まれました。
恥ずかしさが、温かい思い出に変わる
医院を出た息子は上機嫌で、パン屋さんへ向かって一直線。
小さな子どもの言葉は、時に親を赤面させることがあります。けれど、その無邪気さに救われたり、人の優しさに触れたりしながら、親子で少しずつ成長していけるのだと実感します。
今となっては、あのときのおじいさんの優しい一言も、本当にありがたかったなと思います。
息子が大人になった今では、思い返すだけで胸が温かくなる、宝物のような思い出です。
【体験者:50代・筆者 回答時期:2025年12月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒヤリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:大下ユウ
歯科衛生士として長年活躍後、一般事務、そして子育てを経て再び歯科衛生士に復帰。その後、自身の経験を活かし、対人関係の仕事とは真逆の在宅ワークであるWebライターに挑戦。現在は、歯科・医療関係、占い、子育て、料理といった幅広いジャンルで、自身の経験や家族・友人へのヒアリングを通して、読者の心に響く記事を執筆中。