育児休暇からの復職時、久しぶりの満員電車に「無理!」となった方も多いのではないでしょうか。筆者の知人A子さんも、“満員電車での通勤”が復職時の最初の壁でした。時差通勤やテレワークで働けないか上司に相談したところ、信じられない一言が返ってきて──。

上司の信じられない一言

幸いフレックスやテレワークで働ける職場だったので、上司に事情を説明し、時差通勤やテレワークを組み合わせながら働けないか相談しました。

すると上司は、「じゃあ会社近くに引っ越せば?」と笑いながら言ったのです。

「え……」私は言葉を失いました。家をすぐに変えることは難しいですし、保育園は家の近所。保育園が決まったから復職したのに、また保育園を探し直すことは難しいです。

その上司とは復職前に一度面談をしていて、上司自身も子育て中と聞いていた分、同じ育児に励む立場として寄り添ってくれると期待していたのだと思います。悪気はなかったのかもしれませんが、切羽詰まっていた私にはその言葉がとても重く、悲しい気持ちになりました。

誰かに寄り添うこと

その上司のもとでは安心して働けないと思い、上司のさらに上司に相談し、所属チームを変えてもらうことになりました。新しい上司はお子さんはいない方ですが、一人ひとりの事情に配慮してくれ、安心して働けています。

復職前は、自分と似た境遇の人の方が事情を理解してもらいやすく、一緒に働きやすいと思っていましたが、この一件で必ずしもそうではないことを学びました。似た者同士だから分かり合えるはず、という思い込みよりも、相手に歩み寄ろうとする姿勢こそが本当の『理解』に繋がるのだと感じました。また、誰かに寄り添ってもらえることのありがたさを知り、私もそんな人になりたいと思った出来事でした。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年11月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:Emma.I
長年人事業務に携わり、働き続ける人々の本音や葛藤に触れてきたライター。
現在は仕事や自身の育児を通じて得た経験を元に、誰かの心に寄り添い、クスッと笑えるエピソードを執筆中。特に、女子中高出身者の視点やグローバル企業出身者の視点からの記事を得意とする。