筆者の話です。20年以上疎遠だった従兄の奥さんから突然届いた贈り物。困惑しながらお返しに悩む私でしたが、姉から聞いた真相は心温まるものでした。親戚の絆や亡き人の優しさに触れた物語です。

突然届いた謎の贈り物

「ピンポーン」とインターフォンが鳴りました。

モニターを見ると、荷物を持った配達員の方が立っています。

印鑑を押して受け取ったのは、大きめの段ボール箱でした。

でも、こんな大きな品物を私は頼んだ覚えはありません。

「夫が何か注文したのかな?」と思い、伝票の受取人欄を確認すると、私の名前になっています。

宛先人の欄に目をやると、そこには「従兄の奥さん」の名前が書かれていました。

彼女とは、もう20年以上会っていません。

年賀状のやり取りもなく、SNSで繋がっているわけでもありません。
お話しする接点なんて全くないのに、なぜでしょうか。

不思議に思いながら箱を開けると、中には高級そうな入浴剤やバスソープのセットが入っていました。
メッセージカードなどは一切ありません。

困惑した私は、とりあえず箱をそのまま食卓の上に置きました。

戸惑いと葛藤

私が育った家では、誰かから頂き物をもらったら必ずお返しをする、というのが当然の習慣です。

母からも「頂きっぱなしは失礼よ」と何度も言われて育ちました。

当然、この頂きものにも「何かお返しをしなければ」という思いが浮かびます。

でも、相手は20年以上も疎遠な親戚です。

何をお返しすればいいのか、そもそもなぜ私宛に送ってきたのかもわかりません。

金額も不明、お返しの相場もわかりません。

それに、これをきっかけに関係が復活することも、正直なところ少し面倒と感じてしまう私もいました。

友人に相談すると「気にしなくていいんじゃない?」と軽く言われましたが、私の中ではそう簡単に割り切れません。

結局、親戚のことなら姉であれば何か知っているかも? と思い、電話をかけることにしました。

姉から聞いた真相

「お姉ちゃん、ちょっと聞いてほしいことがあるんだけど」と切り出すと、姉は「どうしたの?」と穏やかな声で応じてくれました。

従兄の奥さんから突然荷物が届いたこと、20年以上も疎遠なのに不思議だということを話すと、姉は「ああ、それね……」と少し間を置いてから話し始めました。

「実はね、その従兄の奥さん、最近お母さんを亡くされて、遺品整理をしてるらしいのよ。そのお母さんが生前、親戚の名前をノートに書き留めていて、『お世話になった人たちに感謝の気持ちを』って残していたんだって。それで、親戚中に品物を送っているみたい。私のところにも先月、タオルセットが届いたわ」

その瞬間、胸が温かくなりました。

姉には「お返しは気持ち程度でいいと思うわ。向こうもそういうつもりじゃないと思うから」と言われました。