これは、筆者の友人A子が職場での陰口に耐えながらも、ある出来事をきっかけに自分を信じて反撃したお話です。人間関係に悩む人へ勇気をくれる物語です。
職場で聞こえた心ないひと言
A子は小さな広告会社で事務をしていて、入社して3年目。
誰にでも丁寧で真面目な性格のため、上司からの信頼も厚いタイプです。
しかし、その真面目さが、一部の同僚には面白くなかったのかもしれません。
ある日、コピー室で資料をまとめていると、廊下の奥から同僚のM子とS子の声が聞こえてきました。
「A子って、いい子ぶって上に気に入られてるよね」
「ほんとそれ! ああいうタイプ、一番苦手〜」
心臓がギュッと痛くなったA子は、息をひそめてその場をやり過ごしました。
“なんで私は嫌われてるんだろう”
その夜、家に帰って泣いてしまったA子。「普通に仕事をしているだけなのに」というやるせなさが、彼女を苦しめました。
「黙っているのが一番」そう思っていたけれど
翌日もふたりは、わざとらしくA子の前でヒソヒソと話していました。
「また残業? 頑張るアピールすごいね〜」
耳に刺さるその言葉に、A子は笑顔で「お疲れ様です」と返すしかありませんでした。
心の中では怒りが渦巻いていたけれど、波風を立てたくない一心で我慢。
でも、そんな日々が続くうちに、A子の心はどんどん疲弊していきました。
「どうして私ばっかり……」
それでも仕事を辞める勇気はなく、ただ黙ってやり過ごすしかありませんでした。しかし、この「沈黙」が、かえって彼女たちをつけ上がらせていることにも、A子は薄々気づき始めていました。
思わぬチャンスが訪れた瞬間
そんなある日、チームで大きなプレゼンの準備を任されることに。
上司は「A子さん、資料作りお願いできる?」と頼みました。
M子とS子も同じチームでしたが、ふたりはほとんど手伝わず、文句ばかり。
A子は「ここで逃げたら、一生彼女たちの言葉に怯えることになる」と覚悟を決め、夜遅くまで残業し、一人で資料を完成させました。