これは、筆者の友人A子が、反抗期の息子K太とのすれ違いを通して、親子の絆を再確認したエピソードです。
反抗期の始まりと“無言の壁”
中学2年の息子・K太は、いつの間にか私と目も合わせなくなりました。
以前は「ママ聞いて!」と学校の話をしてくれたのに、今では「別に」「うるさい」の一言ばかり。
食卓でも会話はほとんどなく、私が「今日どうだった?」と聞いても返ってくるのはため息だけ。
夫は「男の子なんてそんなもんだ」と笑っていましたが、母親としては寂しさを感じずにはいられませんでした。
それでも、お弁当だけは欠かさず作り続けました。
朝早く起きて、好きな唐揚げや卵焼きを詰めながら、「今日くらい笑ってくれたらいいな」と毎日願っていたのです。
卒業式当日、静かな朝の旅立ち
月日が経ち、あっという間に中学校の卒業式の日になりました。
まだ外が薄明るい早朝、ガタゴトと物音で目が覚めました。カバンを整える音、そして玄関のドアが静かに閉まる音。
「……あの子、もう行ったんだ」と時計を見ると、いつもよりずっと早い時間でした。
どうやら先に家を出たようで、私は取り残されたような気持ちになりました。
せっかくの卒業式なのに、私が見送ることもできなかったのです。少し怒りもありました。
「最後くらい“行ってきます”って言ってほしかった」
ため息をついてダイニングテーブルに座ると、ふと目に入ったのは1枚の小さな紙切れでした。