親子の関係は、近すぎるからこそ難しいもの。大切にしたい気持ちはあるのに、会話をするたびに心がすり減ってしまう……。そんな経験はありませんか? 今回は、母親との関係に悩んだ経験を持つ友人が、体験談を聞かせてくれました。

「ごめんね」は封印

覚悟を決めた私は、次に母が「私が死ねば……」と泣き出した時、動じずにこう返しました。

「死ぬとか簡単に言わないで。今は来週の予定の話をしているの。泣き止むまで待つから、ちゃんと話せるようになったら教えて」

そしてスマホを取り出し、淡々と時間を計り始めました。
期待していた謝罪がないことに母は狼狽し、数分後にはバツが悪そうに涙を止めました。

作戦は成功でした。

私なりの「心の防衛術」

感情論には感情で返さず、ただ事実だけを伝える。
一見冷たい娘だと思われるかもしれませんが、これが母の支配から抜け出し、対等な大人として向き合うための、私なりの防衛術なのです。

相手のドラマに巻き込まれず、自分の心をしっかり守ること。
それが結果として、依存関係を断ち切り、健全な距離感を保つ第一歩になるのだと信じています。

親との関係に悩む人はきっと多いはずです。
「親だから」「娘だから」という役割を超えて、ひとりの人間として向き合うこと。
その勇気が、未来の自分の心を救うのだと思います。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年11月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。