「家族の写真は残したい」。誰もが願うことですが、手段を誤ると切ない結果を招くことも。筆者の知人A子は家族写真を撮る習慣がない家庭で育ち、人一倍憧れを抱いていました。そんなA子の気持ちを知った夫。しかし、カメラを構えた瞬間、その愛情は「空回り」。よかれと思って暴走してしまった夫と、それを見つめる妻A子のエピソードです。

「パパ大好き」な子どもたちと、私のためのカメラ

普段の夫は、近所でも評判の優しい父親です。休日には全力で公園を走り回り、子どもたちも「パパ大好き」といつも背中に張り付いているような関係でした。

そんな夫が、私の「家族写真を撮ったことがない」という寂しさを埋めようと、張り切って高級カメラを購入したのです。

家族の成長を写真として記録に残したいという私の願い。それを叶えようとする彼の姿は、私にとって頼もしく、理想的な夫そのものでした。「私の家族写真が残せる」。そう信じて疑わなかったのです。