人から頼み事をされたとき、「力になってあげたい」と思うのは素敵なことですが、その優しさが自分自身を苦しめてしまうこともありますよね。断る勇気を持つのは、意外と難しいものです。今回は、筆者の友人の体験談をご紹介します。

夫の一言で気づいたこと

ある日、そんな私を見かねた夫が言いました。

「本当に困っている人は、相手を責めたりしないし、返せないのに返すふりもしない。そして何より、姪っ子を本当にかわいいと思っている叔母なら、きみを利用しようとしないよ」

その言葉は、私の迷いを打ち砕いてくれました。

私の純粋な「助けたい」という善意を、叔母は利用していたのかもしれない。
貸さないと悪者にされる空気に支配され、関係が壊れることを、私はただ怯えていただけだったのだと、気づいた瞬間でした。

必要な境界線

次に電話がかかってきたとき、私は震える声で「もうお金は貸せません」と叔母に伝えました。
電話は一方的に切られ、以来連絡は途絶えましたが、不思議なほど心は軽くなりました。

親しい間柄こそ、境界線を引かないと共倒れになります。
本当の優しさとは、相手の言いなりになって犠牲になることではありません。

勇気を出して距離を置くことで、ようやく「自分を守るための境界線」の大切さに気づけたのです。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年11月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。