言葉の行き違いと、突きつけられた現実
すると、役員ママの表情が一変。
「報酬が出ないとやらないっていうの? 私たちPTAだって全員ボランティアなんだから!」
私は、その強い口調に驚きました。彼女たちも限られた予算と時間の中で必死に運営しているからこその言葉だったのかもしれません。
しかし、「プロのスキル」までもがボランティアという言葉ひとつで無料で提供されるべきだと決めつけられたことに、私は深い悲しさを感じてしまいました。
友人が気づかせてくれた「プロのプライド」
同じ仕事をする友人にこの話を相談すると、友人は強い言葉で諭してくれました。
「あなたはイラストでお金をもらっているプロなんだから、安請け合いしなくて正解。ボランティアとお金をもらって仕事をするのと、しっかり線引きしないと、あなたのプロとしての価値が崩れるわよ」
私はハッとしました。
私のスキルは、私自身の時間を費やし、生活を支える「商品」。無償で提供し続けることは、私の仕事を軽視することに繋がります。
役員ママとのやり取りは切ないものでしたが、それをきっかけに私は「どこまでが善意の協力で、どこからが仕事か」を明確に伝える覚悟ができました。
これからは、自分のスキルを大切にしながら、無理のない範囲で地域に貢献できる方法を探していこう。そんな前向きな気持ちで、今日もペンを握っています。
【体験者:40代・女性個人事業主、回答時期:2025年11月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Yuki Unagi
フリーペーパーの編集として約10年活躍。出産を機に退職した後、子どもの手が離れたのをきっかけに、在宅webライターとして活動をスタート。自分自身の体験や友人知人へのインタビューを行い、大人の女性向けサイトを中心に、得意とする家族関係のコラムを執筆している。