筆者の話です。
お昼休みの時間変更を願い出たスタッフの「まさかの事情」に胸がつまった日。
その後の関係に、寄り添う時間が返ってくることを知りました。

そこまで強く言う理由が気になり、思い切って事情を尋ねると──離婚の手続きで役所に行かなければならないとのこと。
仕事終わりだと子どもを連れて行くしかなく「子どもには離婚の手続きをみせたくない」ので日中に済ませたい。

その言葉に、胸の奥がふっと熱くなりました。
私も離婚経験者、手続きの多さに苦労したことを思い出したのです。

そっと背中を押す選択

彼女の必死さが伝わり、私も返答に迷いました。
日中の手続きはどうしても必要で、遅れる可能性もある。
でも、まだ離婚成立前で、周囲に事情を知られたくない気持ちもわかります。

考え抜いた末に、私は
「他のチームに気づかれないようにね」
とだけ伝えて、彼女を送り出しました。

できることは大きくなくても、そばに立つことならできる。
何か言われれば、責任は私が引き受ければいい。
そんな思いもあったのです。

寄り添いは返ってくる

彼女は無事に手続きを終え、今も会社で働いています。
あの日のことを感謝しているからだと言って、忙しい日には率先して何度も私のヘルプに入ってくれるようになりました。

「いつもありがとう」
と声をかけると、
「あの時助けてもらったから」
と照れくさそうに笑っていました。

「人が困っている時に寄り添うこと」は、すぐに見返りがあるものではありません。
けれど、ときどき思いがけない形で返ってくる。
あの相談の日を思い出すたびに、そんな温かさを噛みしめています。

【体験者:50代女性・筆者、回答時期:2025年11月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。