瀬戸内海の島で育った私。実家の新築引き渡しが12月の末に迫り、家族のそわそわは日に日に強くなっていきました。 「早く新しい家に入りたい!」という気持ちが抑えられず、私と弟は、人手が必要なことを承知しながらも自分の荷物だけでもと、こっそり作業を始めました。
島内の引っ越しなので、わざわざ業者を呼ぶ発想はありません。 それに、農繁期に人を頼むのは申し訳ない。 そんな遠慮もあって「家族でできる分だけやろう」と静かに手を動かしていたのです。 ほんの少しだけ「見られたら気をつかわせるかな」というそわそわも胸の奥にありました。