息子の優しさに救われた
息子が歩き出してから、私はしばらくその場に立ち尽くしてしまいました。少しの間、息子が自分でベッドに向かう背中を見守りながら、心の中で自分の思いを整理していました。
その時、布団の中から息子の小さな声が聞こえてきました。「ママ、手をつないでいて」と、息子が手を差し伸べてきたのです。私はその手をしっかりと握り「もちろんだよ」と答えました。その温かい手のひらを握った瞬間、心の中の寂しさが少しずつ溶けていくような気がしました。
変わりゆく日常と新しい習慣
その日から、私たちの寝かしつけの習慣が少し変わりました。以前のように抱っこして寝室まで運ぶのではなく、息子が自分で歩いていく代わりに、寝室の入り口で「おやすみハグ+手つなぎ10秒」を新しい習慣として取り入れました。
この小さな変化が、私たちにとって大切な意味を持つようになりました。息子も自分の成長を実感しているのでしょうし、私はその成長を見守りながら、息子のペースに合わせてサポートしていこうと思うようになりました。
親としての役割に気づいた瞬間
「もう抱っこはいらない」と言われた夜、私は親としての役割を再認識しました。子どもが自立する時期は少しずつやってくるものです。それを温かく見守り、必要なときに手を差し伸べることこそが、親として大切だと感じました。
息子が成長していく姿を見守りながら、これからも寄り添い、支えていきたいと思った出来事でした。
【体験者:40代・筆者、回答時期:2025年11月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:北田怜子
経理事務・営業事務・百貨店販売などを経て、現在はWEBライターとして活動中。出産をきっかけに「家事や育児と両立しながら、自宅でできる仕事を」と考え、ライターの道へ。自身の経験を活かしながら幅広く情報収集を行い、リアルで共感を呼ぶ記事執筆を心がけている。子育て・恋愛・美容を中心に、女性の毎日に寄り添う記事を多数執筆。複数のメディアや自身のSNSでも積極的に情報を発信している。