出産は人生の大きな喜びですが、ときとして金銭感覚の違いから、大切な人間関係にひびが入ってしまうことがあります。筆者の知人A子は、友人B子へ心を込めて出産祝いを渡したものの、その直後に返ってきた言葉に絶句したそう。友人関係の難しさと切なさを感じるエピソードをご紹介します。

「私は1回だけ。損した気分」という衝撃

B子の都合が良い日に自宅へ伺うと、彼女は夜間授乳などの育児疲れがでている様子でした。私は体を案じながら「出産おめでとう」と声をかけ、準備したお祝いを渡しました。

「ありがとう」とお礼を言うB子でしたが、直後にこう話しかけてきたのです。

「私、A子に3回お祝いあげたよね? なのに私は1回。なんか、損した気分(笑)」

冗談めかしてはいましたが、その目は笑っていないように見えました。お祝いを「回数と損得」で天秤にかけるような発言。私はあまりの衝撃に言葉を失い、曖昧な笑顔で返すのが精一杯でした。

埋められない価値観のズレ

お金にシビアなB子が、私の3回の出産すべてにお祝いをくれたことには深く感謝しています。だからこそ、今回の出産祝いは私なりに誠意をもって、質・量ともに準備したつもりでした。

もしかしたら、産後の疲れから、普段なら言わない本音が漏れてしまったのかもしれません。しかし、「おめでとう」という純粋な気持ちに水を差されたような、苦い後味は消えませんでした。

いずれにせよ、お互いの金銭感覚に大きなズレがあったことを感じずにはいられません。しばらくは少し距離を置いたほうがお互いのためかもしれない。そう心に決めた出来事でした。

【体験者:40代・女性主婦、回答時期:2025年11月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:Yumeko.N
元大学職員のコラムニスト。専業主婦として家事と子育てに奮闘。その傍ら、ママ友や同僚からの聞き取り・紹介を中心にインタビューを行う。特に子育てに関する記事、教育機関での経験を通じた子供の成長に関わる親子・家庭環境のテーマを得意とし、同ジャンルのフィールドワークを通じて記事を執筆。