子育てをしていると、子ども同士のトラブルは付き物ですよね。親としては穏便に解決したいところですが、時には相手の親御さんとの認識のズレに驚かされることもあります。今回は筆者の友人が体験談を聞かせてくれました。

一方、Yさんの番になると、雲行きが怪しくなります。
「息子は泣いて帰ってきたのよ!」
「意地悪されたに決まってる!」
と、感情的な訴えばかりで、肝心の事実確認が全く進まないのです。

あらわになった思い込み

その瞬間、私は気付きました。
Yさんは子どもの涙だけを見て「うちの子は被害者だ」と決めつけ、ちゃんと話を聞いていなかったのだと。

先生も同じことを感じたようで、ため息をついてメモを置き、Yさんを諭すように言いました。

「お母さん……まずはお子さんの話を、ちゃんと聞いてあげてくださいね」

その後、先生の丁寧な聞き取りで、先に手を出したのはYさんの息子だったことが判明。
先生が事前に聞いてくれていた、周囲の子どもたちの証言も一致しました。

Yさんの息子は、母親に叱られるのが怖くて本当のことを言えず、泣いて誤魔化しただけだったのです。

「信じる」ことと「鵜呑みにする」ことの違い

Yさんの息子は、その場でこちらに謝罪をしてくれました。
私の息子もそれを受け入れ、Yさんの息子と仲直りすることができたのです。
しかしYさんは顔を真っ赤にして終始黙り込み帰っていき、私は複雑な気持ちになりました。

我が子を信じたい気持ちは痛いほどわかります。
でも、彼女のそれは「信じる」のではなく、事実確認を怠った「盲信」でした。

子どもを守るということは、ただ味方をすることではなく、しっかりと対話をして事実と向き合うことだと、改めて痛感した出来事となりました。

大人の思い込みこそ、ときに子どもの心に、より深い傷を残すことがあるのかもしれませんね。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年11月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。