これは筆者の友人から聞いたお話です。
大学時代に留学を夢見ていた彼女。しかし母親からの“ある一言”でその夢を諦めることに。そして十数年後、今度は自分の娘が語学研修に行きたいと言い出したことで、思いがけず過去と向き合うことになったそうです。

「覚えてるよ。あの頃、家計が厳しくて仕送りなんて無理だったし、何かあっても飛んでいける余裕もなかった。できないことほど、親は後悔するのよ。私は“怖かった”の」

あのときの“反対”は、私を抑えつけたかったわけじゃなかったんだ……。その言葉で、初めて心の奥がほどけるような気がしました。

娘を見送りながら、母の気持ちに追いついた

数週間後、成田空港。チェックインを終えた娘が、振り返って笑顔で「ありがとうね、ママ」と言いました。

私は手を振り返しながらも、目の奥がじんと熱くなるのをこらえるのに必死でした。

あのとき母が感じていた「手放す不安」と「信じる勇気」。

今になってようやく、あの気持ちに追いつけたような気がしました。

【体験者:50代・女性パート主婦、回答時期:2025年11月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:北田怜子
経理事務・営業事務・百貨店販売などを経て、現在はWEBライターとして活動中。出産をきっかけに「家事や育児と両立しながら、自宅でできる仕事を」と考え、ライターの道へ。自身の経験を活かしながら幅広く情報収集を行い、リアルで共感を呼ぶ記事執筆を心がけている。子育て・恋愛・美容を中心に、女性の毎日に寄り添う記事を多数執筆。複数のメディアや自身のSNSでも積極的に情報を発信している。