「社交性がないから、将来やっていけない」―—。過去に投げつけられた呪いの言葉を克服し、海外で過ごしている筆者の友人。年末の地元で、かつての自分を否定した友人の母親と再会して……?

グループから余る子だった私

私の生まれ育った地域では、人間関係が世界の全て。

特に小学校時代は周りに馴染めず、常に私は「グループから一人余る子」。居心地が悪かった記憶しかありません。

いじめられるわけではないけれど、自分だけが輪に入れない、みんなとうまくやることが苦手な子どもでした。

呪いの一言を浴びせられて

その中で、最も私の心を傷つけたのは、近所に住む友人Aちゃんの母親です。

ある日の学校からの帰り道、みんながAちゃんの家の前で遊んでいました。無言で通り過ぎようとしたとき、私を見つけたAちゃんの母親が言ったのです。

「あら、あんたまた一人でいるの? 社交性が足りないと、この先どこでもやっていけないわよ。女の子はね、要領よくグループに入れないとダメなんだから」

わかっていたことを他人に突然指摘され、当時の私は大きなショックを受けたことを覚えています。「ここに居場所はない」と宣告されたような心地でした。

英語を武器に海外へ

そんな私に転機が訪れたのは、中学校の英語の授業。

カナダ出身の外国人教師の授業で、私は漠然と「かっこいい!」と英語に興味を持ちます。

日本語だとうまく話せないのに、英語になるとなぜか別の自分が現れたかのように、素直な気持ちを言葉にできる。そんな感覚でした。

それから私はひたすら英語に打ち込み、高校、大学と進学し、念願だった海外へ留学。そこには「一人でいること」や「特定の型にはまること」を強要しない、多様な生き方がありました。その後、縁あって、今は大学で准教授をしています。

パートナーにも恵まれ、充実した日々を送っています。