店の常連客に無邪気すぎる質問を投げかけた孫。その言葉をきっかけに、オーナーである私は、Aさんが毎日カフェに来る『衝撃的で切実な理由』を知って……。友人が、体験談を語ってくれました。
「お金持ちなんかじゃないんだよ。家にはもう私しかいないし、おしゃべりがしたくて、このお店に来ているの」
その言葉を聞いた瞬間、私は胸が詰まりました。Aさんの旦那様が亡くなったことは知っていましたが、Aさんはこの店を、「ただの喫茶店」ではなく、「孤独を癒やす場所」「社会との接点」として利用してくれていたのです。
孫はAさんの話を聞き終えると、すぐに理解したようでした。
私のカフェが持つ『大きな役割』
「Aさん、おうちで一人なんだね。じゃあ、お店に来たときは私とたくさん遊んでね」
孫はそれ以来、Aさんが来店すると、必ず自分の遊びを中断してAさんの隣に座り、幼稚園での出来事や、他愛もない話をたくさんするようになりました。
Aさんも、孫の無邪気な質問や話に心から笑い、店内の雰囲気はますます温かくなっていきました。
Aさんの「いつも来る」理由は、「誰かと話したい」というシンプルな理由。
孫の純粋な疑問は、私自身に、「美味しいコーヒーを出す場所」というだけでなく、「地域の拠り所」という、もっと大きな役割を担っていることを教えてくれたのでした。
【体験者:60代・女性カフェ店主、回答時期:2025年11月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Yuki Unagi
フリーペーパーの編集として約10年活躍。出産を機に退職した後、子どもの手が離れたのをきっかけに、在宅webライターとして活動をスタート。自分自身の体験や友人知人へのインタビューを行い、大人の女性向けサイトを中心に、得意とする家族関係のコラムを執筆している。