裕福ではなかったわが家に、時々ぽんと現れる「特別なもの」
大人になって、その裏にあった母の静かな工夫を知りました。
大人になって知った「母の工夫」
社会人になってから、あるきっかけで母の口から真相を聞きました。
それは、懸賞に応募したり、食品のマークをこつこつ集めたりして当てていたものだったということです。
「当たったから、持って帰ったのよ」
母は軽く言いましたが、その裏には情報を集める労力や、応募の準備など、細かな手間が積み重なっていたはずです。
さらに、ある日突然連れて行ってくれた子ども向けの劇も、実は懸賞で手に入れたチケットでした。
どうして親戚の子も一緒だったのかと疑問に思っていたら、その子の名前で応募して当てたものだったのだと照れくさそうに笑う母。
いくつもの手段を駆使して「楽しみ」を届けようとしてくれていたのだと思うと、胸の奥がじんわり熱くなる瞬間でした。
知らないところで注がれていた「愛情」
あの頃、母は見えないところで、私たちががっかりしないように工夫してくれていたのだと気づきました。
裕福ではなかったはずなのに「特別な時間」がたくさんあった理由は、全部母の優しさだったのです。
そんな静かな努力を思い返すたび、今になってようやくその愛情を噛みしめています。
知らなかった事実を知った今、あの不思議の答えをそっと胸にしまって過ごすようになりました。
【体験者:50代女性・筆者、回答時期:2025年11月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。