これは筆者自身の年末年始の体験です。毎年の帰省は寒さとの戦いで、特に築年数の古い義実家では暖房があっても底冷えして大変でした。そんな環境を少しでも快適にしようと、防寒グッズを用意したところ、思いがけず心が温まる出来事があったのです。

「目利きだなあ」の言葉に心が温まる

数日経っても義父が気に入って使ってくれていたので、「もうそのまま使ってください」とお渡しすると、少し照れたように「これはね、いい“買い物の目利き”をしたと思うよ」と言ってくれました。そのひと言が、とても嬉しくて、年末の寒さがすっと和らぐような気がしたのです。防寒グッズは“使い捨て”のつもりだったのに、まさかこんな形で喜ばれるなんて予想もしていませんでした。

予定外のリユースが残したもの

帰宅後、私はフリマアプリで“出品”する代わりに、自分用に同じ防寒グッズを再購入しました。もともとミニマリスト寄りで「合わなければ売ればいい」と考えるタイプで、今回も「今年あまり使わなければ手放そう」というお試し感覚で買ったものです。

ところが義父が思いのほか気に入ってくれ、その姿を見ているうちに「義理の家族とこのアイテムでつながっているようでうれしい」と感じるようになりました。気づけば合理的な考えよりもその感情を優先し、自分用にも同じものを選んでいました。

物の価値は価格だけでなく、「誰かが喜んでくれること」にもあるのかもしれません。何気なく買ったものが、誰かにとって欠かせない存在になる。そんな“予想外のリユース”が、心に残る年末の思い出となりました。

【体験者:40代・筆者、回答時期:2025年11月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:北田怜子
経理事務・営業事務・百貨店販売などを経て、現在はWEBライターとして活動中。出産をきっかけに「家事や育児と両立しながら、自宅でできる仕事を」と考え、ライターの道へ。自身の経験を活かしながら幅広く情報収集を行い、リアルで共感を呼ぶ記事執筆を心がけている。子育て・恋愛・美容を中心に、女性の毎日に寄り添う記事を多数執筆。複数のメディアや自身のSNSでも積極的に情報を発信している。