残された画面には。
「小児がん 完治率」
「子ども 闘病 親ができること」
検索履歴がずらりと並んでいました。
夫も同じように苦しんでいた
数週間前、息子が白血病と診断されました。
麻衣さんは気丈に振る舞っていました。
夫も息子の前では明るく接していたから、麻衣さんは「あまり深刻に考えていないのかも」と思っていたそう。
夫の様子に、どこか不満さえ感じていたといいます。
違ったのです。
夫は毎晩、麻衣さんが寝た後に情報を集めていたのです。
同じ境遇の親のブログを読み、治療法や励まし方を必死に学んで。
パソコン画面の前で、ひとり泣いていました。
その姿に、麻衣さんも思わず目頭が熱くなりました。
翌朝、麻衣さんは夫にそっと声をかけました。
「いろいろ、調べてくれてるんでしょう?……ありがとう」
夫は少し驚いた顔をして。
「俺も怖くて仕方ないんだ。でも、一緒に乗り越えよう」
初めて本音を漏らしてくれたそうです。
支え合う毎日
それから、夫婦で話す時間が増えました。
息子の前では明るく振る舞い、二人きりの時は不安を吐き出す。
お互いの弱さを見せ合えるようになりました。
張り合う必要なんて、なかったんです。
夫婦で支え合う毎日が、何よりの力になると麻衣さんは話してくれました。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2019年11月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:神野まみ
フリーランスのWEBライター・コラムニスト。地域情報誌や女性向けWEBメディアでの執筆経験を活かし、医療・健康、人間関係のコラム、マーケティングなど幅広い分野で活動している。家族やママ友のトラブル経験を原点とし、「誰にも言えない本音を届けたい」という想いで執筆を開始。実体験をもとにしたフィールドワークやヒアリング、SNSや専門家取材、公的機関の情報などを通じて信頼性の高い情報源からリアルな声を集めている。女性向けメディアで連載や寄稿を行い、noteでは実話をもとにしたコラムやストーリーを発信中。