年の離れた弟が生まれることへの『世間の冷たい目への恐怖』。しかし、実際に弟が生まれて溺愛する日々の中、近所の人から心無い陰口を叩かれます。その時、弟が放った『最高の成敗』とは? 友人が体験談を語ってくれました。

弟が放った『最高の無邪気さ』

「ねぇ、あれ、お母さん? 歳いってるのに産んだのね。恥ずかしくないのかしら」
「高校生のお姉ちゃんと並ぶと、孫みたいじゃない?」「計画性がないわよね、あの家」

意図的に聞こえるように話されているのがわかりました。

母は平然としていましたが、私の胸はチクチクと痛み、あのころの「恥ずかしい」という感情が再び蘇ってきました。

反論する勇気もなく、ただ黙って耐えていると、私に抱っこされた弟が、突然ニコッと愛想を振りまいたのです。

その瞬間、ヒソヒソ話をしていた女性たちの声がピタリと止まりました。

そして顔を見合わせると、一転して「あら、かわいい!」「こんなに笑うのね」「いいわねぇ、年の差も」と、まるで手のひらを返したように弟に話しかけてきたのです。

私たち親子に向けられた冷ややかな視線を、弟の天真爛漫な笑顔が蹴散らした瞬間でした。

外野のノイズを蹴散らして

母の妊娠を「恥ずかしい」と思っていたのは、なんて小さな世界だったのか。

外野の陰口なんて、弟の幸せな笑顔の前では、本当にどうでもいいノイズでしかなかったのです。

弟は、私の心の壁も、世間のつまらない偏見も、その笑顔一つでふっ飛ばしてくれたのです。

私は、こんなにも大切な弟を産んでくれた母を、心から誇りに思っています。

【体験者:10代・女性学生、回答時期:2025年11月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:Yuki Unagi
フリーペーパーの編集として約10年活躍。出産を機に退職した後、子どもの手が離れたのをきっかけに、在宅webライターとして活動をスタート。自分自身の体験や友人知人へのインタビューを行い、大人の女性向けサイトを中心に、得意とする家族関係のコラムを執筆している。