混雑した場所で、配慮のない行動にモヤッとした経験はありませんか。エレベーターの列に横入りをする学生に、ある人がかけたさりげない一声。その後に起きた意外な展開を、私が体験したままにつづっています。

エレベーターの列に割りこんだのは……

駅のエレベーターに向かって歩いていたとき、後ろからドタドタと勢いのある足音が近づいてきました。

ふりかえると、バスケットボールを抱えた男子学生3人組。彼らはあっという間に私を追いぬき、そのまま列の真ん中にすべりこんだのです。

前にはお年寄りやベビーカーの母親、後ろには足の不自由な女性も並んでいるのに、まるで周囲が見えていない様子。大声で笑い合いながら、ボールをクルクル回していました。

妊娠中でお腹が大きくなっていた私は、あまりの無神経さにモヤモヤがこみあげました。

注意したい気持ちはあったけれど

声をかけたかったけれど「もし、逆ギレされたら」と思うと勇気が出ません。エレベーターは1台だけ。ベビーカーが乗れば、あと2人でいっぱいになる小さいサイズです。どう見ても元気であろう彼らなら、階段を使えるはずなのに。

エレベーターに乗るのは自由だけれど、優先すべき人はいる。せめてご高齢の方くらいは先に譲ってほしい——そう思わずにはいられませんでした。

お腹が張ってきて、数分がやけに長く感じます。「あと何往復で自分の番かな」と気をまぎらわせつつ、私はただ静かに順番を待ったのです。