筆者の友人Aの話です。
結婚してからずっと、クリスマスケーキは夫の取引先で購入してきたA。
「好きな味を選べない」という小さな我慢を重ねてきました。
夫の異動でついに「自由に選べる」と思った年、帰宅した夫の手には例年と同じパンフレットが……。

ついにチャンスが来た、と思ったのに

そんなAの夫が、営業からデスクワーク中心の部署に異動になりました。
「これで、ようやく自由に選べる!」
Aは心が躍り、SNSで評判のケーキをいくつもチェック。

ところがその矢先、帰宅した夫が手にしていたのは、見慣れた取引先のパンフレットでした。
「前の部署から『今年もよろしく』って頼まれちゃってさ」
夫の言葉に、Aは思わずため息をつきました。

それでも、心は少し軽くなった

「定年まで、好きなケーキはおあずけかな」と苦笑いしながらも、Aはパンフレットを開きました。
ケーキを囲んで笑う家族の姿を思い浮かべると「どこで買うか」より「誰と過ごすか」のほうが大事なのだと感じたのです。
誰かの役に立てている――そんな思いも胸のどこかにあって。
見慣れたラインナップから「さて、今年はどれにしようか」と、Aは気持ちを切り替えて選び始めました。

【体験者:50代・女性主婦、回答時期:2025年11月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。