筆者の話です。
父が定年してからというもの、どこへ行くにも母についてくるようになりました。
以前の『家にいない人』が、今では『いつも一緒の人』に。
母は少し息苦しそうですが、それでも、どこか嬉しそうでもあります。
その姿を見ていると、ため息と一緒に、ほんのりとあたたかい気持ちもこみ上げてきました。

定年後、父の変化に戸惑う母

父が定年してからというもの、それまで仕事一筋で、休日はパチンコか釣りに出かけていた生活が一変しました。
自分一人でふらりと出かけてしまうような人だったのに、今では自宅でテレビの番人。
私や母が出かけようとすると「俺も行く!」と、当然のように支度を始めるのです。

母は最初こそ「仲良し夫婦みたいでいいでしょ」と笑っていましたが、すぐにその変化に少し疲れを見せるようになりました。

「俺も行く」にため息

先日、母と二人でランチに行く約束をしたときのこと。
「たまには娘とゆっくり話したい」と言っていた母が、玄関でため息をつきました。
理由を聞くと──案の定、父が「俺も行く」と言い出したそうです。