実家で見た衝撃の光景
数週間後、実家に帰省した私は、思わず息をのみました。
キッチンには見慣れない健康食品や高額そうなサプリメントのボトルが並び、食卓には「今だけ特別価格!」と書かれたダイレクトメールが山積みになっていたのです。
慌てて銀行の通帳を確認させてもらうと、定期的に数十万円単位の出金が繰り返されていて、母の貯金はみるみる減っていました。
母のプライドを守りながら
すぐに「これは詐欺だ」と確信した私は、冷静なフリをして母に話を聞きました。
しかし、母は「このサプリを飲むと医者いらずになるのよ」と信じ込んでいて、私が何を言っても聞き入れてくれません。
感情的になっても逆効果だと判断し、まずは警察と消費生活センターに相談しました。
その結果、やはり典型的な高齢者を狙う詐欺の手口だということが判明。
私は、母のプライドを傷つけずに事実を受け入れてもらう方法を必死で考え、母が信頼している親戚のおじさんにも協力を求めました。
おじさんから
「もし本当に効果があるなら、私にも試させてほしい。でも、こんなに高額なのは心配だから、まずは消費生活センターに相談してみないか?」
と優しく声をかけてもらったことで、母の頑なな心は少しずつ解けていきました。
冷静な判断と行動が大切
さらに、一緒に消費生活センターに相談し、専門家から丁寧な説明を受け、ようやく母も事実を受け止めることができたようです。
すぐに定期購入の解約手続きを行い、一部は返金してもらうこともできました。
離れて暮らす親の変化には、やはり注意を向け続ける必要があります。
「まさか私が騙されるなんて……」と落ち込む母には、「気づけてよかったね。これからは何でも相談してね」と伝えました。
冷静な判断で、親を守っていきたいものですね。
【体験者:40代・女性会社員、回答時期:2025年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。