保有資格が判明
健診後、新人さんは院長のところへ行き、何やら真剣な顔で報告している様子です。
「Kさん、ちょっと口腔ケアへの意識が薄いみたいです!」という声が聞こえてきます。
院長は「そうですか……」と頷きながら、一緒にカルテを確認しつつ私の診療椅子に入ってきました。次の瞬間、「え? Kさんって、栄養士さんですか?」新人さんの声が診察室に響きます。
院長が苦笑いしながら「そうですよ。栄養指導のお仕事をされてる方ですね」
元の担当者へ
院長のチェックを終えて診察室を出ようとした私に、新人さんが慌てて駆け寄ってきました。
「さっきは大変失礼なことを言って、申し訳ありません」
「いえいえ、気にしてませんから」と笑顔で返しましたが、新人さんはうつむいたままです。
後日、院長から連絡があり、「次回から以前の担当に戻させていただきますね」とのことでした。
フロスを忘れただけで、まさか栄養指導を受けるとは思いませんでしたが、私もフロスを忘れたことを改めて反省しました。今回は新人さんの熱意ある指導により、口腔ケアの重要性を再認識することもできました。
その後、元のリラックスできる歯科衛生士さんに担当を戻していただけることになり、大変ありがたいです。新人さんも今回の経験を糧に、より素敵なプロフェッショナルへ成長されることを陰ながら応援しています。
【体験者:50代・筆者、回答時期:2025年11月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:藍沢佑菜
管理栄養士の資格を持つ、2人の自閉症男子のママ。自身の育児環境の変化をきっかけに、ライター活動をスタート。食と健康を軸に、ライフスタイル全般のコラムを得意とし、実体験に基づいたリアルな記事を執筆中。専門的な情報を「わかりやすく、すぐに日常に取り入れられる形」で伝えることが信条。読者の「知りたい」に寄り添い、暮らしを整えるヒントを発信しつづけている。