友人Aの話です。
玄関別の二世帯住宅で暮らしています。義母は、つい話を盛ってしまう人。
近所づきあいが濃い土地柄ゆえ、義母の「脚色」がAの耳に戻ってくることもあります。
身内だからと黙っていたら、家庭のことも子どもの個人情報も勝手に広がってしまうのです。

近所づきあいが濃い土地で

Aの義母は、昔から「ちょっと大げさ」に話す癖がありました。
「〇〇さんのお宅、最近すごいのよ」なんて、噂話の温度がやたら高いときもあるタイプ。

最初は「まぁ、盛ってるだけだし」と流していたA。
でも実家同士が近い土地柄、義母の話がすぐまわりまわって自分の耳に戻ってくる環境で……嫌でも意識せざるを得なくなっていきました。

知らないうちに「うちの話」が外へ

ある日、Aの母からLINEでこんな言葉が届きます。
「この前、ご近所さんに『お孫さん大きな会社に就職したらしいわね』って聞かれたんだけど……」

Aは思わず固まりました。
子どもの職業のことなんて、親族以外に話していないはず。
しかも、住まいや生活のことまで「勝手に」伝わっている。

家族の私生活が、知らない誰かの間で勝手に流通している。
気づいた瞬間、背中がざわっとしました。

意を決して伝えたけれど

もう黙っていられない。
そのときAは決めました。
勇気を振り絞り、義母に言葉を選びながら伝えたのです。
「個人情報は他の方に話さないでください」

義母は「そんなつもりはなかったのよ」と苦笑いし、しばらくは落ち着いた様子。
けれど最近、また近所の方から「義母の脚色バージョン」の自分の生活を聞かされ……心の中にじわじわ苛立ちが戻ってきました。

「どうして、また」
言い返したい気持ちと、身内相手だからこそ言いづらい現実。
我慢ばかりしている自分に、ふと疲れを感じます。

静かに、線を引く準備を

黙っていたら、また「義母のシナリオ」で話が独り歩きします。
それでも、正面からぶつかるのは家族関係をギスギスさせてしまいそうで……正解が見えません。

必要以上に関わらない。
必要以上に情報を渡さない。
そう思っていても、二世帯同居では物理的に距離が取りづらい日もある。

それでも、心の平穏を守るためにAは少しずつ線を引く準備をしています。
家族だからと、すべてを共有しなくていい。
静かに距離を考えながら、自分のペースを取り戻そうとしています。

【体験者:50代・女性主婦、回答時期:2025年11月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。