これは、友人のA子が学校で体験した子どものトラブルの話です。息子が「暴力をふるった」と言われ、真実を探す母の葛藤と決意を描きます。

息子の口から出た意外な言葉

帰宅してから、A子は息子に静かに尋ねました。
「今日、何があったの?」すると、涙を浮かべながら話し始めた息子。
「Kくんが、ぼくの給食をこぼして笑ったんだ。それで「ごめんって言って」って言ったら、また笑ってきて、カッとなって手を出しちゃった……」
A子は息子の話を聞きながら、胸が締めつけられました。
確かに手を出したのは悪い。でも、そこに至るまでの気持ちを誰も聞いていなかったのです。
A子は、「叩いた」という行為の背景にある息子の感情や経緯が見過ごされていることに気づきました。

先生に伝えた“母としての本音”

翌日、A子は再び学校へ行きました。
先生に事情を説明し、「息子が手を出したのは悪いけれど、その前に起きたことも聞いてほしいんです」と伝えました。
先生は真剣な表情で頷き、「Kくんのほうにも確認します」と言ってくれました。
放課後、先生から連絡があり、「Kくんもからかっていたことを認めました。お互いに反省する機会を設けます」とのこと。
A子はこの解決を経て、後日改めて相手の保護者にも丁重に謝罪し、息子の気持ちだけでなく、相手の痛みも理解することの重要性を痛感しました。
A子は息子を責めるよりも、どうしたら怒りを言葉で伝えられるかを一緒に考えようと思いました。
息子も「もう叩かない。ちゃんと話すようにする」と小さく約束してくれました。

単純に“悪い子”と決めつけられないと気づいた日

子どもの世界には、言葉でうまく伝えられない感情が渦巻いていて、大人が「加害者」「被害者」と線を引くだけでは、本当の意味での解決にはならないのだと感じました。
A子は息子に言いました。
「怒ってもいいんだよ。でも、相手の痛みも考えられる人でいてね」
息子は真剣な表情で「うん」とうなずきました。
今回のトラブルは、子どもを成長させ、親を強くするきっかけとなりました。
A子はこの出来事を通して、叱るより、寄り添う勇気の大切さを知ったといいます。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年10月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:池田みのり
SNS運用代行の職を通じて、常にユーザー目線で物事を考える傍ら、子育て世代に役立つ情報の少なさを痛感。育児と仕事に奮闘するママたちに参考になる情報を発信すべく、自らの経験で得たリアルな悲喜こもごもを伝えたいとライター業をスタート。