これは、友人のA子が学校で体験した子どものトラブルの話です。息子が「暴力をふるった」と言われ、真実を探す母の葛藤と決意を描きます。

突然の呼び出しに息をのむ

ある日の午後、小学校から電話がありました。
「A子さん、お子さんのことでお話があります」と言われた瞬間、胸がざわつきました。
学校に駆けつけると、神妙な面持ちの担任の先生と、明らかに怒りを滲ませた見知らぬ母親が待っていました。そして、いきなり切り出されたのは、あまりにもショッキングな言葉でした。

「A子さんの息子さんが、うちの子を叩いたそうです」

思わず「え……?」と声が漏れました。
普段はおとなしく優しい息子が、叩いた? 信じられませんでした。
先生は、相手の母親の証言に基づき、状況を淡々と説明します。しかし、息子は隣で顔を真っ赤にして俯き、一言も発しません。

「申し訳ありません。まずは、息子本人から詳しく話を聞いてから、改めてご説明させていただけないでしょうか」

私はその場で事実を問い詰めることよりも、混乱している息子に冷静に向き合いたいと考えました。一方的な主張に心を乱されながらも、私は先生と相手の母親にそう伝え、その日のところは、俯く息子を連れて帰宅するほかなかったのです。