知人から聞いたエピソードを紹介します。
夫の発言
私は、娘が3人いる主婦です。
これは次女が高校受験を控えた中学校3年生の時のできごと。
ある日、家族全員がそろった夕飯の席で、私は次女から進路について相談を受けていました。
真剣に進路について考え、悩む次女。私も寄り添い考えながらアドバイスをしていました。
すると、私たちのやり取りを黙って聞いていた夫が突然笑い声を上げ始めました。そして次女に向かって、「相変わらず、お前はママのイエスマンだな!」とバカにしたように言い放ったのです。
「進路も、ママに相談せずには決められないのか」と続ける夫に、次女と私は思わず口をつぐみました。
夫の発言は、私にとって不快なものでしたが、次女にとっても同じ様子。怒りから顔を真っ赤にしていました。
娘が決意
その翌日のこと。夫がまだ起きてこない早朝に、次女が台所にいた私のもとへやって来ました。
次女の顔には、何やら強い意志というか、決意のようなものが浮かんでいます。
「ママ、私がどこの高校受験するかパパには絶対言わないで!」と次女。
パパにはもう何も言わせない──
次女からにじみ出たその決意に、私は強くうなずきました。
自らの意思で頑張り通した娘
その後、次女は自ら受験先を決定。必死に努力し始めました。
私に対しても弱音を吐かず、自らの意思で勉強に励み続けた次女。
一方夫は、本格的な受験シーズンを迎えた年明けに、「どこの高校にしたんだ? お母さんの言う通りのところか?(笑)」と思い出したかのように尋ねました。しかし次女は決して答えず、夫と高校受験について話すことを拒否し続けたのです。
無事合格
合格発表の日、掲示板には無事次女の受験番号がありました。
静かに喜びをかみしめた次女は、帰宅後、家にいた夫に向かってこう言い放ちました。
「〇〇高校に合格した。私は私の意思でこの高校を選んだし、勉強も一生懸命頑張ったの」
娘の受かった高校は、県内でも有名な進学校。きっと夫は、次女が受験するとさえ思っていなかったでしょう。
何も言い返せず、不格好にスマホを持ったままソファーで寝転び、次女の話を聞く夫。
“母親のいいなりだ”なんて、夫からすれば“次女はまだまだ親に甘えたがりの子どもだ”と思っての発言だったのでしょう。
しかし、知らない内に立派に大きくなり自立を始めた次女の姿に、夫が最後にポツリと「頑張ったな。おめでとう」と言った表情が印象的でした。
【体験者:40代・女性主婦、回答時期:2025年11月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Junko.A
子育てに奮闘しながら、フリーランスのライターとして活躍中。地方移住や結婚、スナックの仕事、そして3人の子育てと、さまざまな経験を通じて得た知見をライティングに活かしている。文章を書くことがもともと好きで、3人目の子どもを出産後に、ライターの仕事をスタート。自身の体験談や家族、ママ友からのエピソードを元に、姑に関するテーマを得意としている。また、フリーランスを目指す方へ向けた情報ブログを運営中。