自然な声かけ
階段から降りてきたのは、旅行中らしい外国人のご夫婦。
奥様がにこやかにお母さんへ何か声をかけ、旦那様は何も言わずにベビーカーをスッと受け取ります。
手慣れた様子であっという間に畳み終えると、そのまま軽々と階段を上がっていきました。
お母さんもホッとしたように「Thank you」と言いながら笑顔を見せ、赤ちゃんを抱っこして階段を上っていきました。
見惚れてしまった瞬間
その一連の流れがあまりにもスマートで、私はただ見惚れるばかりでした。
奥様のやさしい笑顔、旦那様の自然な動き。どちらも「助けよう」という気持ちが当たり前のようににじみ出ていました。
そしてふと考えました。私ならどうだろう……。
日本なら困っている人を見かけたらすぐに声をかけますが、もし海外だったら?
「言葉が通じなかったらどうしよう」「余計なお世話かも」━━おそらくそんなことを考えてなかなか動けない気がします。
国や言葉が違っても
でも、あのご夫婦はそんなことを一切考えていないようでした。言葉よりも先に、気持ちが動いていたのでしょう。
国や言葉が違っても、思いやりの気持ちはちゃんと伝わる。誰かを助けるって、もっとシンプルでいいのかもしれません。
さりげなく手を差し伸べる外国人夫婦の姿が、私の中にあたたかく残りました。
私も、あのご夫婦のように“迷わず動ける人”でありたいと思った出来事でした。
【体験者:50代・筆者、回答時期:2025年11月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒヤリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:大下ユウ
歯科衛生士として長年活躍後、一般事務、そして子育てを経て再び歯科衛生士に復帰。その後、自身の経験を活かし、対人関係の仕事とは真逆の在宅ワークであるWebライターに挑戦。現在は、歯科・医療関係、占い、子育て、料理といった幅広いジャンルで、自身の経験や家族・友人へのヒアリングを通して、読者の心に響く記事を執筆中。