回転寿司の「お皿ルール」
休日に家族で回転寿司店に行ったときのことです。
そのお店は、食べ終えたお皿を指定の穴に入れるとカウントされ、5皿ごとにモニターでゲームが始まる仕組みになっています。
小学生のわが子たちはこのゲームに夢中で、特に息子は「おれ、5枚一気に入れるんだ!」と、お皿を集めるためにいつも以上に勢いよく寿司を食べていました。
予想外の強引な要求に絶句
すると突然、5歳くらいの男の子が私たちのボックス席のそばにやってきて、話しかけてきたのです。
「あの、このお皿ちょうだい」
息子も私も、あまりの予想外の要求に思わず「え?」と聞き返しました。
男の子は、私たちのテーブルの隅に積み重ねてあるお皿を指差しています。
男の子は、さらに身を乗り出して言いました。
「これ、食べ終わったんでしょ? うち、あと1枚でゲームできるから、ちょうだい」
私は突然のお願いにびっくりしました。親御さんはどこにいるのだろう?
私が示したルール
私はにこやかに説明しました。
「これはね、このテーブルでどのくらい食べたかを数えているんだよ。他のテーブルに持っていくのはだめなんだ」
しかし、男の子は「ゲーム!」と一点張りで、納得していない様子。
困り果てていると、遠くの席から、その男の子のお父さんが慌てて小走りでやってくるのが見えました。
お父さんは、状況を察した瞬間に、「すいません!」と叫びながら駆け寄ってきました。
私たちに頭を下げると、男の子をむんずと抱きかかえて、
「人の食べ終えたお皿を勝手にもらうんじゃない! ちゃんとパパがゲームさせてあげるから、戻るぞ!」
と、有無を言わさず席に連れ戻したのです。
お父さんは席に戻る途中も、私たちのテーブルに向かって深く頭を下げていました。
子どもから目が離せない
回転寿司のお皿ほしさに、周りのテーブルに声を掛けるなんて、男の子の要求に驚きました。
一方で、ゲームができるアイテムとしてお皿が一役買っているので、純粋に「お皿を集めてゲームしたい」という男の子の考えも理解できました。
いついかなるときも子どもの目は離せない……。
そう思った回転寿司でのハプニングでした。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年11月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Yuki Unagi
フリーペーパーの編集として約10年活躍。出産を機に退職した後、子どもの手が離れたのをきっかけに、在宅webライターとして活動をスタート。自分自身の体験や友人知人へのインタビューを行い、大人の女性向けサイトを中心に、得意とする家族関係のコラムを執筆している。