資源ごみステーションで働く私
私はスーパーの清掃員として働いています。
日々の清掃に加え、店外の資源ごみステーションでの分別・回収も私の仕事。
資源ごみステーションは、当店の環境への取り組みとして、基本はお客様が自分で分別します。しかし、清掃員が立っていないと、ラベルが剥がされていなかったり、分別がめちゃくちゃということも珍しくありません。
私たちは、お客様に優しく声かけをするようにしています。
「ラベルは剥がしてくださいね」「キャップはこちらで集めています」など。
多くの方は「すいません」と快く応じてくださいます。
突然の怒号に晒された恐怖
しかし先日、本当に恐ろしい経験をしました。
私が資源ごみ回収の場所に立っていたときのこと。
70歳くらいの男性が、ペットボトルもアルミ缶もスチール缶も、分別せず、そのまま大きなゴミ箱にどさっと入れようとしたのです。
私は慌てて、「すいません、お手数ですが、分別して捨ててもらえますか?」と声をかけました。
すると、その男性は一瞬で顔色を変え、
「何言ってんだ! お前の仕事だろ!」
と怒鳴りつけ、そのまま延々と私を怒鳴り続けたのです。
周りのお客さんも何事かと立ち止まる中、私は怖くて一言も反論できず、ただ静かにその男性の怒りが収まるのを待つしかありませんでした。
店長による毅然としたプロの対応
そのとき、異変に気づいた女性店長が飛んできてくれました。
男性は店長にも勢いよく怒鳴り続けましたが、店長は一言も反論せず、ただ冷静に言い分を聞き、そして毅然とその男性に言い放ちました。
「当店の資源回収は、お客様ご自身による分別がルールです。私どもは、そのルールを丁寧に伝えただけです。ご自身のルール違反を棚に上げてスタッフを怒鳴るのは、店としても、人としても許されませんよ!」
店長の冷静かつ強い言葉に、男性は言い返す言葉を失い、顔を真っ赤にしてその場を立ち去ったのです。
店長は、私に「怖かったですよね」と優しく声をかけてくれました。
あのとき、私を侮辱した言葉に対し、店長が「スタッフの尊厳」と「店のルール」を盾に守ってくれたことに、涙が出るほど感謝しました。
おかげさまで私はその後もくじけず、誇りを持って清掃の仕事に向き合えています。
【体験者:60代・女性パート、回答時期:2025年11月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Yuki Unagi
フリーペーパーの編集として約10年活躍。出産を機に退職した後、子どもの手が離れたのをきっかけに、在宅webライターとして活動をスタート。自分自身の体験や友人知人へのインタビューを行い、大人の女性向けサイトを中心に、得意とする家族関係のコラムを執筆している。