違和感だらけの初対面
翌日「彼」との初めての対面。
「身長170cm」と言っていたが、どう見てもサバを読んでいるのです。
違和感を抱きつつ、飛行機と新幹線を乗り継いで、5時間以上かけてここまで来てくれた「彼」に、
今更何もなかったことにするという訳にはいきません。
「どうしよう……」
そんな私の思いに気づくわけもなく「彼」は嬉しそうに話しかけてきます。
話を合わせながら歩いていると、あっという間に自宅に到着してしまいました。
「仕方がない」
勢いのまま両親に紹介したのです。
「彼」が席を外している時、母は「半年は様子を見なさい」と私に釘を刺しました。
帰り際、母は封筒に3万円を「交通費」として渡しました。
彼は「いいんですか?」と言いながら受取り、ためらいもせずにサッとリュックの中にしまいました。
空港に見送りがてら寄った居酒屋で、そのお金を出しながら「3万じゃ足りないんだけどな」と彼が口にした時、私の頭の中で「逃げて!」という声がしました。
違和感を見逃さないで
しかし、もう「婚約」の状態。戻る勇気がありませんでした。
あの時、そこで終わらせていればよかった……。
身長詐称、垣間見たお金への執着。これらの違和感はすべて、これから始まるモラ夫との想像を絶する人生への警告サインだったのです。
周囲の意見や自分の直感に耳を傾けること。
そして何より「もう婚約したから」という状況に縛られず、引き返す勇気を持つことの大切さを
私は身をもって学びました。
もし同じような状況にいる方がいたら、どうかその違和感を見逃さないでほしいです。
【体験者:50代・筆者、回答時期:2025年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:藍沢佑菜
管理栄養士の資格を持つ、2人の自閉症男子のママ。自身の育児環境の変化をきっかけに、ライター活動をスタート。食と健康を軸に、ライフスタイル全般のコラムを得意とし、実体験に基づいたリアルな記事を執筆中。専門的な情報を「わかりやすく、すぐに日常に取り入れられる形」で伝えることが信条。読者の「知りたい」に寄り添い、暮らしを整えるヒントを発信しつづけている。