懐かしい友人から届いたメッセージ
10年ぶりに、学生時代の友人Yから連絡がありました。
「久しぶり! 元気? 今でも婚活してるの?」
30代前半、婚活に励んでいた頃によく悩みを打ち明け合った仲です。懐かしさで胸がいっぱいになり 「7年前に結婚して、今は子どもが2人。最近パートをはじめたよ!」と返信しました。
「今度会おう」そう送った直後、思いがけない言葉が返ってきたのです。
まさかの内容に絶句
返信の内容、それは──。
「自分より下の人間見て、安心したい?」
目を疑いました。冗談? それとも本気?
あまりの言葉に、スマートフォンを握る手が震えたのを覚えています。
冗談であってほしい、と何度もメッセージを読み返しました。
あの優しかったYが、こんなことを言うなんて……。信じられない気持ちと戸惑いの中で、その言葉の真意がどうしても気になりました。
思い切って「何かあったの? 久しぶりに会おう」と返信を送ったのです。
再会の先に見えた、彼女の苦しみ
久しぶりに会ったYは、どこか疲れた表情をしていました。以前の明るい笑顔は影をひそめ、少しやつれたようにも見えます。
話を聞くと、男性との出会いがなく、仕事は忙しいのに低賃金。 実家には認知症のおばが住みはじめ、帰る場所もないということでした。
「周りに独身の友人がいなくて……。ふと、あなたを思い出したの」 そうつぶやいたYは、少しうつむいてからぽつりと続けました。
「この前はひどいこと言って、ごめん」
その言葉とともに、静かに涙がこぼれ落ちたのでした。
言葉の意味
彼女の話を聞きながら、胸がいっぱいになりました。かける言葉が見つからず、ようやく出たのは「大変だったんだね」という、ひと言だけ。帰り際にそっと「また会おう」と伝えました。
あのときの言葉は、きっと苦しさの裏返しだったと感じました。人は追い詰められると、誰かを傷つけてでも自分を保とうとするのかもしれません。
たとえ傷つけあったとしても、会わない時間があったとしても、学生時代をともに過ごした友人は、大切にしたいものです。
その後、少しずつ連絡を取り合うようになり、ときどき会っては、たわいもない話をして笑い合う関係に戻りました。
あの衝撃の言葉は、友情の形が変わってもつながっていけることを教えてくれたのでした。
【体験者:40代・女性パート、回答時期:2025年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:大空琉菜
受付職を経て、出産を機に「子どもをそばで見守りながら働ける仕事」を模索しライターに転身。 暮らしや思考の整理に関するKindle書籍を4冊出版し、Amazon新着ランキング累計21部門で1位に輝く実績を持つ。 取材や自身の経験をもとに、読者に「自分にもできそう」と前向きになれる記事を執筆。 得意分野は、片づけ、ライフスタイル、子育て、メンタルケアなど。Xでも情報発信中。