信じられない言葉
ある日の午前中、その日は特に気持ち悪くて寝込んでいると、姉から「あんた、起きて手伝って!」と呼び出されました。
何とか起き上がってしぶしぶ行くと、ホームセンターで買ってきた重いレンガを重ねて渡されます。
「私、妊娠初期なんだけど! 流産したらどうするの!」と訴えると、姉は「おろせばいいじゃん。寝てないで働けよ」とニヤニヤと笑う始末。
あまりのことに父親に伝えると、「お前は黙っていろ!」となぜか私が怒られるのです。
母に言っても、うやむやにされてしまいました。
友達の助け
どうしたらいいかわからず、家を飛び出した私。
シングルマザーで同じような状況を経験してきた友人に電話すると、「うちにおいで」とすぐに車で駆けつけてくれました。
友人のお母さんは「辛いよね。まずは体を休めて。しばらくこの家にいなさい」と。
布団を敷いて、「ゆっくり寝てなさい」と優しく声をかけてくれました。
実家から何度も着信が来ましたが、その日は無視を決め込みました。
姉や父の酷い言葉のこと、それを母が聞こうとしなかったことの怒りをつづり、メールを送りました。
すると、「わかったから。心配だから帰ってきなさい」と返信が。
しかし、友人のお母さんは「いや、もうしばらくこの家にいなさい。私が時期を見てお家に電話するから」と言ってくれました。
やっと訪れた安心
一週間ほど過ぎたころ、両親が友達の家に菓子折りを持って私を迎えに来ました。
そこには友人のお母さんから説教され、うなだれる両親の姿があったのです。
家に帰ると、姉と子犬はいなくなっていました。
それ以降、両親から酷い言葉を言われることはなく、安定期に入って自宅に戻るまで、穏やかに過ごすことができました。
あの時、私を守ってくれた友人と友人のお母さんには、感謝してもしきれません。
【体験者:50代・筆者、回答時期:2025年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:藍沢佑菜
管理栄養士の資格を持つ、2人の自閉症男子のママ。自身の育児環境の変化をきっかけに、ライター活動をスタート。食と健康を軸に、ライフスタイル全般のコラムを得意とし、実体験に基づいたリアルな記事を執筆中。専門的な情報を「わかりやすく、すぐに日常に取り入れられる形」で伝えることが信条。読者の「知りたい」に寄り添い、暮らしを整えるヒントを発信しつづけている。