毎朝の支度に手を焼いていた我が家。ところがある日、たまたま早起きした筆者の息子が“自分で気づいた”ことをきっかけに、朝の時間がガラリと変化。親が何度言っても届かなかったことが、子どもの中で動き出した瞬間でした。

発見!! “早く終われば遊べる”

その日、学校から帰った息子がぽつりと言いました。
「今日、朝から遊べて楽しかったなー。またあんな感じがいいな」
どうやら彼の中で、“早く準備を済ませると自分の時間ができる”というシンプルかつ最強のルールが生まれたようです。

親から「早くしなさい」と言われるのではなく、自分の意思で「遊びたいから早くする」に変わった瞬間でした。

翌朝も、彼は起こされる前に早起き。手際よく支度を済ませ、またおもちゃの続きを。遊びたい気持ちが、自然と朝の行動の原動力となっていたのです。

本人の気づきで変わった朝

これまで、どれだけ私が鬼の形相で「早くして!」と言っても動かなかったのに、今は何も言わなくても支度が進む。
“やらされている”うちは面倒でも、“自分がやりたい”につながると、人はこんなにも変わるのか。
忙しさのあまり、私自身も「やらなければならないこと」に追われ、本来の「仕事で成果を出したい」「家族との時間を楽しみたい」という“やりたい気持ち”を忘れていたのかもしれない——そんな気づきまで得ることができました。

自分で動ける力の大切さ

この変化がどれほど続くかはわかりません。それでも、この一週間、我が家の朝の時間が穏やかで、笑顔が増えたことは事実です。
「早く終わると、気持ちいいね」と息子。
その一言に、私は胸がいっぱいになりました。
親が言葉で与えたり、ご褒美で釣ったりするよりも、子ども自身が見つけた「うれしい感覚」のほうが、ずっと強く、持続する力になります。
その成功体験こそが、自分で動ける力、ひいては自己肯定感へとつながっていくのだと、改めて実感しています。

【体験者:30代・筆者、回答時期:2025年10月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:K.Matsubara
15年間、保育士として200組以上の親子と向き合ってきた経験を持つ専業主婦ライター。日々の連絡帳やお便りを通して培った、情景が浮かぶ文章を得意としている。
子育てや保育の現場で見てきたリアルな声、そして自身や友人知人の経験をもとに、同じように悩んだり感じたりする人々に寄り添う記事を執筆中。ママ友との関係や日々の暮らしに関するテーマも得意。読者に共感と小さなヒントを届けられるよう、心を込めて言葉を紡いでいる。