結婚や出産など、ライフステージの変化は女性のキャリアに大きな影響を与えることがありますよね。特に、子育て中の転職となると、不安や葛藤は尽きないものです。今回は、筆者の友人の転職エピソードをご紹介します。

子育て中の転職活動

「子持ちの私に、新しい転職先なんて見つかるわけがない」
長年勤めた会社を夫の転勤で辞めることになった時、私はすっかり自信を失っていました。

実際、3歳の子どもを抱えながらの転職活動は、想像以上に厳しく、面接で「お子さんの病気で急な休みは取られますか?」「残業はできますか?」と聞かれるたび、胸がぎゅっと締め付けられる思いでした。

正直に答えれば確実に不利になるし、かといって嘘をつくこともできない。
子育てをしながら仕事もしたいということが無謀に思えて、ジレンマを抱えていました。

予想外の言葉

面接での質問は、まるで子育て中の自分を否定されているかのように感じられましたし、無理をして働くことは、子どもにも負担をかけてしまうのではないかという葛藤もありました。

そんな時、最後の望みで受けた会社の面接で、面接官の女性が、こう言ってくれたのです。

「お子さんとの時間を大切にしたいという気持ち、よく分かります。私たちも、社員にはプライベートも充実させてほしいと考えています。無理に諦める必要はありませんよ」

ここなら続けられるかもしれない

その言葉に、私は思わず涙が出そうになりました。

さらに面接官は、私の不安な気持ちに寄り添いながら、会社の育児支援制度やフレックスタイム制について具体的に説明してくれたのです。

そして、「私たちも、あなたの経験やスキルを活かしてほしい。ここで活躍できる道は必ずあります。子育てしているということで引け目を感じないでください」と言ってくれました。

希望に満ちた新しい一歩

結局、私はその会社に転職を決めました。

実際に働いてみると、面接官の言葉通り、周囲の理解も深く、子育てとの両立を無理なくできています。
あの時、諦めかけた心を救ってくれた一言は、今でも私の支えです。

子育て中の女性にとって、働きやすい環境はまだ少ないかもしれないけれど、諦めずに探し続ければ、必ず理解ある会社に出会える。
そう強く信じられるようになった、大切な経験です。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年10月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。