クラスの子どもの前でも同じように自分のことを名前で言うので、子どもの安心感や、保育士としての信頼性を保つため、子どもの前では「先生」と言うように伝えなければなりませんでした。
一人称の呼び方だけでなく、「マジで」「うける」など子どもと話すときの言葉遣いもいちいち注意が必要で、次はどんな発言をするかとハラハラして目が離せない実習生でした。
立派な保育士として成長
さらに極めつけは毎日書いて提出する保育日誌です。
学校にも提出する重要な記録・報告書にもかかわらず、その日の反省の中に顔文字や矢印などが多用されていて、まるで友達との手紙のように自分の感情を表現しているのです。
これにはかなり衝撃を受けました。保育士としての資質やノウハウ以前に指導しなければならないことが多くありましたが、それもまたYの成長に繋がると信じ、粘り強く向き合いました。
その後、Yが立派に保育士になって働いていると噂に聞きました。いろいろ問題のある実習生ではありましたが、保育の仕事が好きで選んでくれたことがとても嬉しくかったです。
そして思い返せば、彼女の明るさは、周囲を元気にする力があったと思います。
もしかしたら今では、Yが若い実習生の教育担当としてジェネレーションギャップを感じながら指導しているかもしれません。あの時の経験が、今度はYの指導に活かされていることを願います。
【体験者:30代・筆者、回答時期:2018年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Kumi.M
保育士歴25年。ママたちの修羅場、バトルを多数目撃し、その経験を元にコラムニスト活動をスタート。アラフィフ主婦となった現在は、ママ友・育児・嫁姑問題などを、幅広い人脈を駆使してインタビューを行い、執筆する。