今回は様々な子育て論がある中で、筆者の友人が思わず困ってしまったお話をご紹介します。
超偏食の息子。心配だけど仕方ないか
幼稚園に通うA子さんの息子は、超がつくほどの偏食でした。
白ご飯もパンも嫌、野菜全般も断固拒否!
偏食な我が子にご飯を食べさせるのは、本当に苦難の技でした。
素材を選び調理法も調べ尽くし、色々試しましたが、息子は頑なに拒否し続けました。
悩み過ぎて眠れない日もありましたが、最終的に「とりあえず食べてくれるものをとにかく食べてもらおう!」と、いい意味で開き直れるようになったのです。
幼稚園の給食は食べられる日と食べられない日がありましたが、先生とも相談して「一口でも食べられたらOK」という風になりました。
最終的に、家ではバナナとお気に入りの冷食3種類を、ローテーションで食べさせていました。
心配ではありますが、風邪をひいたり病気になることもあまりなかったので、息子のペースで食べられる物を増やせればいいと思っていたのです。
お弁当持参のピクニック
ある日、ママ友達とお弁当を持ってピクニックへ行くことになりました。
皆で外食となると、息子はほとんど食べることが出来ません。
なのでお弁当持参ということに、A子さんは安心しました。
お気に入りの冷食ばかりのお弁当ですが、食べてくれるならOKなのです。
ママ友達には息子が偏食と伝えていたのですが、まさか弁当の内容が冷食3種のみとは思わなかったのでしょう。
皆本当に驚いていましたが、
「食べてくれるものがあってよかったね」
「少しでも食べてくれるなら、もう何でもいいよね!」
なんてフォローをしてくれてホッとしたのも束の間、Bママだけは……。
どうにか野菜を食べさせたいBママVS断固拒否の息子
「でも野菜も食べないとさー」
「息子ちゃん、このトマト美味しいよ?」
Bママは弁当内容に驚きを隠せない様子で、息子に自分が持ってきた野菜を食べさせようと熱心になっていたのです。
もちろん息子は野菜など一切食べず、自分のお弁当を黙々と食べていました。
周りはやんわり制止してくれたのですが、Bママは止まらず、
「このままじゃ、息子くんが病気になる」
「もっと向き合うべきだ」
そう必死に訴えを続けたのです。
それでも食べない息子に焦りからか、Bママはなんと……
心配してくれてありがたいけど、もう余計なことをしないでほしい
「じゃあこの、にんじんドレッシング! めっちゃ美味しいからかけてあげる!」
と、勝手に息子の唐揚げにかけてしまったのです。
もちろん息子は怒ってしまい、その唐揚げすら食べることが出来ませんでした。
Bママの言うことはもちろん理解していますし、A子さんも「もっといろんなものを食べてほしい」とは常に思っています。Bママが息子のことを本当に心配してくれているのは伝わってきました。
それでもやっと今のパターンに落ち着いたところなので、変に手出ししないでほしかったのです。
有難迷惑とはこのことだなと、思わずため息が出てしまったのでした。
今回のピクニックは、A子さんにとって、子育てにおける『他者との距離感』を改めて考えさせられる出来事となりました。正解のない子育てだからこそ、互いのやり方を認め合い、安易に他者の領域に踏み込まない配慮が大切だと痛感したそうです。
【体験者:30代・女性パート、回答時期:2025年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Yuki.K
飲み歩きが趣味の元キャバ嬢。そのキャリアで培った人間観察力でコラムを執筆中。すっと人の懐に入ることができる天然人たらしが武器。そのせいか、人から重い話を打ち明けられやすい。キャバクラ勤務後は、医療従事者として活躍していたが出産を機に退職。現在はこれまでの経験で得た人間関係を取材に生かし、主に女性の人生の機微を記事にするママライター。