子育てしながら働いている人にとって、職場の人の理解は働きやすさを左右する重要な要素ですよね。「周囲に迷惑をかけていないか」と気を遣いながら働く人も多いのではないでしょうか。今回は、筆者の友人のエピソードをご紹介します。

ドキッ! 社長からの衝撃発言

転職先の会社で、初めて参加したミーティングでのことです。
社長の口から飛び出した「子育てがなんだ」という言葉に、思わず息を呑みました。

私はまさに、子育てをしながら時短勤務をしている身。
その言葉はまるで自分を責められているかのように感じられ、周囲の視線が突き刺さるようでした。

一瞬で顔が熱くなり、「やっぱり子育てしながら働くのは迷惑なのかな……」という不安が頭をよぎりました。

言葉の裏に隠された真意

しかし、社長の言葉はそこで終わらなかったのです。

「うちの会社には、子育て中の人だけじゃなく、親の介護をしている人もいる。持病があって通院が必要な人も、ひとり親で必死に頑張っている人もいるだろう」

優しさの滲んだ声で、社長は続けました。

「みんな、それぞれに大変なことを抱えながら働いてくれている。だから、『子育てだから』と特別扱いするのではなく、みんなが平等に、それぞれの事情に合わせて無理なく働ける環境を整えたいんだ」

「支え合う」が当たり前の職場に

さらに社長は、

「誰かが大変な時は、周りが協力して助け合う。それが当たり前の会社にしたい。だから、子育て中の人も、そうじゃない人も、困った時は遠慮なく休んでいい。
『子育てがなんだ』とは、そういう意味だ!」

と豪快に笑いました。

そして、

「みんな同じくらい大切な社員なんだから、みんなが快適に働けるように、会社としても全力でバックアップする」

と力強く言ってくれたのです。

私はハッとしました。
社長の言葉は、私を攻撃するものでも、子育てを軽視するものでもなく、むしろ、社員ひとりひとりの事情を尊重し、みんなで助け合って働こうという、温かいメッセージでした。

それを理解した時、私の中で「この会社でなら安心して働ける」という確信が深まりました。

子育て中の人だけではなく

実際に、この会社では有給休暇も取りやすく、急な子どもの発熱で休む時も、嫌な顔ひとつされずに「お大事に」と言葉をかけてもらえます。

もちろん私も、通院や介護で休暇や早退が必要な同僚の仕事を、快く引き受けることにしています。

社長の「子育てがなんだ」という一見厳しい言葉の裏には、「みんなで支え合って働く」という、社員への深い愛情と信頼が隠されていたのです。

この会社で働くことができて、本当に良かったと心から感じています。

【体験者:40代・女性会社員、回答時期:2025年10月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。