子どもの学校や幼稚園、保育園の先生は、あくまでも子どもの先生ですが、筆者の知人の幼稚園には先生との距離感が少し近すぎる保護者がいたそうです。知人から聞いたエピソードを紹介します。

同じ幼稚園のママ

私は、3歳の息子を持つ主婦です。
息子は幼稚園に通っており、私が毎朝送迎をしているのですが、いつも気になる光景を目にしていました。

それは、Cさんという保護者のとある行動。Cさんの子どもは我が子と同じクラスなのですが、毎日保育室の前で、かなり親しげに担任の先生に話しかけていました。
「おはよう~」「今日いい天気だね。散歩に連れて行くの?」「じゃ、息子ちゃんのことよろしく!」という感じで、Cさんはまるで友達に話しかけるかのようにタメ口。

プライベートなことまで話しているときもあり、「この間、美味しいカフェ見つけてさ~」「今朝旦那とけんかして……本当に腹立つ」などと言っているのを聞いたこともありました。

入園した当初は敬語だったCさん。しかし最近のCさんの態度に、先生もどう対応すべきか戸惑っているように見えました。

連絡先を……

そんなある日のこと。
いつも通り息子を送って行くと、先生に親しげに話しかけるCさんの姿が目に入りました。

しかしその日は、いつもにもまして熱心です。「ねぇ先生、そろそろLINE交換しようよ! 立ち話じゃ話足りないから!」と言うCさん。
その言葉に、先生は困惑した表情を浮かべました。
先生は、「保護者の方と個人的に連絡を取るのは禁止されていますので……」と連絡先の交換を断ったのですが、Cさんは「え~、もう友達でしょ。固いこと言わないで交換しようよ!」となおも食い下がります。

先生は困ったような表情を浮かべながら、頭を下げて断り続けていました。

先生の立場

幼稚園や保育園などでは担任の先生とは毎日会いますし、先生も私たちが保護者であるという手前、丁寧に接してくれているのでしょう。
もしかしたら、Cさんはそんな先生の態度を個人的な友情と捉えてしまったのかもしれません。もしかすると、Cさんにとっては先生がとても親しみやすく、悪気なく親しくなりたいという気持ちから行動を起こしたのかもしれません。

しかし、やはりそこは先生と保護者という、友人とは一線を画した距離感が必要とされる場合もある関係。
頭を下げ続ける先生の姿を見ながら、私は先生という仕事の専門性や大変さを少し垣間見た気がしました。

【体験者:40代・女性主婦、回答時期:2025年10月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:Junko.A
子育てに奮闘しながら、フリーランスのライターとして活躍中。地方移住や結婚、スナックの仕事、そして3人の子育てと、さまざまな経験を通じて得た知見をライティングに活かしている。文章を書くことがもともと好きで、3人目の子どもを出産後に、ライターの仕事をスタート。自身の体験談や家族、ママ友からのエピソードを元に、姑に関するテーマを得意としている。また、フリーランスを目指す方へ向けた情報ブログを運営中。