静寂を破る着信音
私はジムでのスタジオレッスン、特にヨガが好きで通っています。
最近入会したジムは高齢の方が多く、活気があって楽しかったのですが、一つだけ大きな悩みがありました。
それは、静かなヨガのレッスン中に、毎回誰かしらの携帯電話が鳴ることです。
先生の注意も無駄!
薄暗い照明の中、癒やしの音楽が流れる静寂の空間に、「ピロピロ」という着信音や通知音が鳴り響きます。
同じような着信音のため、すぐに誰のものかわからず、やっと特定できたと思ったら電話が切れている、の繰り返しです。
ジムエリアには「携帯電話はマナーモードに」という張り紙があり、レッスンの先生も冒頭で必ず伝えてくれますが、一向に改善されません。
そのたびに集中力が切れ、私は嫌気が差していました。
衝撃の質問で発覚した真実
ある日、また耳慣れた着信音が鳴り響きました。
レッスン後、音が鳴った携帯電話の持ち主の女性に思い切って声をかけることにしました。
「すみません、携帯電話のマナーモードのやり方をご存知ですか?」
すると、返ってきた言葉に私は衝撃を受けました。
「言葉は知ってるけど、やり方を知らないのよ」
私からすれば、携帯電話やスマホを持つ人にとって「マナーモード」は常識だと思っていました。
しかし、その女性は本当に悪気があるわけではなく、マナーモードという概念や機能そのものを知らなかったのです。
非常識な行動は「知識不足」から生まれる
私は驚きを隠しながら、まず「公共の場では音を出さないようにする機能」だと、マナーモードについて説明しました。
そして、女性の持っていた携帯電話を触らせてもらい、操作方法を教えました。
女性は「助かったわ、これでみんなに迷惑かけずに済むわね!」と、お礼を言ってくれました。
私はつい「これくらい常識だろう」「わかるだろう」と考えがちですが、デジタルネイティブではない高齢の方々にとっては、その常識は学習しなければ得られないものです。
誰でも携帯電話やスマホを持ち歩く現代だからこそ、子どもだけでなく高齢の方々にも、社会的なマナーと知識を丁寧に伝えることが大切だと感じました。
思い切って声をかけ、一歩踏み出して解決したことに、清々しい気持ちになりました。
【体験者:30代・女性パート、回答時期:2025年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Yuki Unagi
フリーペーパーの編集として約10年活躍。出産を機に退職した後、子どもの手が離れたのをきっかけに、在宅webライターとして活動をスタート。自分自身の体験や友人知人へのインタビューを行い、大人の女性向けサイトを中心に、得意とする家族関係のコラムを執筆している。