「俺だけに厳しい」と嘆く息子
初めてレギュラーから外れた悔しさに、息子は家に帰るなり泣きそうになって言いました。
「どうして俺だけ選ばれないんだ」という悔しさに加え、不満はコーチにも向かいます。
「コーチが俺だけに無理なノックをしてくる」「俺だけに厳しい」と嘆くのです。
「自分だけ選ばれない」という挫折感から、「自分だけ無理をさせられている」という被害意識へとすり替わってしまっていた息子。
しかし、コーチの厳しい指導は、他でもない息子の上達を心から願っている証拠でもあります。
私は息子の話を「ウンウン」と最後まで聞きました。
その上で、「コーチが打ってくれるノックを、捕れるようになるにはどうしたらいい?」と、聞いてみました。
挫折を経て息子が選んだ「本物の努力」
結局、「環境や他人を責めても仕方がない。コツコツ努力して、少しずつでも上手になるしかない」というシンプルな結論に至りました。
野球チームに入って息子が気付いたのは、スポーツは「楽しい」という感情だけで続けられるものではないというリアルな真実。
楽しい活動の裏には、「辛く苦しい練習」や「結果が出ない挫折」が必ず伴います。
今、息子は毎日の素振りを始めました。
初めて直面した挫折を乗り越え、くじけずに努力する選択をした息子を、全力で応援し、静かに見守っていきたいと思っています。
【体験者:40代・女性パート、回答時期:2025年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Yuki Unagi
フリーペーパーの編集として約10年活躍。出産を機に退職した後、子どもの手が離れたのをきっかけに、在宅webライターとして活動をスタート。自分自身の体験や友人知人へのインタビューを行い、大人の女性向けサイトを中心に、得意とする家族関係のコラムを執筆している。